弁当箱

先日手入れに行ったお宅で、3時のお茶を出してもらって雑談していました。

子供の話になって、5年生と3年生の娘がいますと言ったら、「えー、全然そんなふうに見えない、お若いですねー」と言われました。

まぁその時は嬉しかったのですが、よく考えると、いつの間にか「若く見える」と言われて嬉しくなるような歳になってしまったんだなぁと改めて思ったのでした。

中身はそれほど変わったように思えないけど、年齢というのは着実に増えていきます。

 

木工ネタを一つ。

結構前の話ですが、木の弁当箱を買って使っていました。2段重ねで食べ終わったら入れ子になる構造で、かなりいいお値段だったと思います。

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これが白木なんですね。白木の方がご飯の水分を吸収するから美味しいと言われ、なるほどそれは理にかなっているなぁと思って買ったのですが、毎日使っていると問題が出てきました。

汁っぽいおかずを入れると染みこんでしまって、いくら洗っても匂いが残るんです。ご飯の入れ物の方は、一晩乾かしたくらいじゃ完全に乾かないらしく、そこにまたご飯を入れるもんだからいつも湿気っていて、ついに雑巾のような匂いがし始めました。

ネットで調べて鍋で煮たりレンジでチンしたりといろいろやってみるも上手く行かず、結局仕舞い込んで何年も使っていませんでした。

先日、ふと思い立って漆を塗ってみました。

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まず生漆で拭き漆をして、朱合漆を塗って研ぎ出しを2度繰り返し、最後に朱合漆の拭き漆で仕上げました。

うーん、何かすごく高級そう。

漆というのは強力な塗膜なので、木が本来持っている吸湿性は失われます。つまりプラスチックの弁当箱と性能は同じということです。まぁ密閉性が無いので幾らかは違うかもしれませんが、ほぼ同じでしょう。

じゃあなんでわざわざ木の弁当箱を使うのかといえば、これは気分が良いからとしか言いようがありません。同じものでも立派な入れ物に入っていると美味しく感じます。中身も豪華に見えますね。

木の弁当箱は高いのから安いのまで色々ありますが、漆やウレタンで塗ってあるのに「吸湿性があってご飯が美味しい」とか宣伝文句が書いてあるのはちょっと違うんじゃないかと思います。

まぁ何はともあれこれで匂いや水分を気にせず使えるようになりました。

 

2016/5/31 記